日本ではフォーマルな贈り物には「のし」を付けるのが一般的なマナーとされています。では、結婚式の引出物にも「のし」は必要なのでしょうか。
この記事では、これから結婚式や披露宴を控えているカップルの方が覚えておくべき、引出物ののしについての基礎知識を詳しく解説していきます。
引出物における「のし」の基礎知識
近年、若い世代を中心に人気のカジュアルスタイルの結婚式では、のしを付けない引出物をお渡しするケースも少なくありません。しかし、引出物に添えるのしは、新郎新婦からの感謝の気持ちを伝えるフォーマルな贈り物のため、のしを付けてお渡しするのが一般的なマナーです。
ここからは、引出物における「のし」の基礎知識をおさらいしておきましょう。
「のし」の意味・由来
お中元やお歳暮といった季節の贈り物やお祝い事のフォーマルな贈り物に使用される「のし」。鮑(あわび)の身を薄く剥がし引き伸ばしてから乾燥させた「のしあわび」をのし紙の間に挟み、献上品に添えて贈ったことが由来となっています。
なぜあわびが用いられたのかについては諸説ありますが、あわびは古来、長寿の象徴とされていたことや、乾燥あわびは水でもどして煮て食べることで精がつく最強の保存食だったことも理由の一つだったようです。のしあわびの起源は古く、日本書紀にも伊勢神宮にのしあわびが奉納されていたという記載があります。なお、三重県鳥羽では現在でも昔ながらの方法でのしあわびが作られています。
のしあわびに関する伝承は、8世紀頃に書かれた「肥前国風土記」や鎌倉時代の「吾妻鏡」などにも残されていて、戦国時代には戦勝祈願として贈られていたそうです。
そして江戸時代には、祝意を示すためにのしあわびを贈答品に添えるということが記録として残るようになりました。
引出物には「のし」を付けるのがマナー
ライフスタイルが多様化する現代では、さまざまな慶事ごともそれぞれのスタイルでお祝いするケースが増えています。結婚式の引出物についても同様で、のしを付けずにきれいな包装紙で包んだものや、手作りのカードを添えて引出物をお渡しする方も少なくありません。
しかし、慶事のときや、目上の方などにあらたまって喜びや感謝の気持ちを伝えるフォーマルな贈り物にはのしを付けるのがマナーです。特に結婚式や披露宴の際の引出物は両家からの贈り物です。ゲストもさまざまな世代の方が参加されるため、お渡しする引出物にはのしを付けてお渡しするほうが安心でしょう。
また、引出物は「記念品」「引菓子」「縁起物」がセットになっていますが、縁起物以外の記念品と引菓子にはそれぞれのしを付けるのが一般的なマナーとされています。
引出物における「のし」の表書きの書き方
引出物の「のし」は、贈り物に感謝や祝福の気持ちを添える大切な要素です。贈り主のまごころを表現する意味もあるため、結婚式やお祝いの席での贈り物にはのしを付けるのが一般的なマナーと言えます。ここからは、引出物ののし紙に書く文字「表書き」の書き方について詳しく説明していきます。
名目は「寿」を入れる
表書きというのは、その贈り物を「渡す理由」と「贈り主」を明確にするためのものです。この内の「渡す理由」にあたるのが、のし紙の上の段に書く「名目」になります。
引出物の名目は、お祝い事を意味する「寿」を入れるのが最も一般的ですが、地域によっては結婚式や披露宴に参加してくれたことへのお礼を表す「御礼」と入れるところもあるようです。
ちなみに、結婚式や披露宴に参加しない方から、ご祝儀を頂いた場合にもお礼の品をお贈りします。その場合ののし紙の名目は「内祝」と書くのが一般的です。
名前の書き方は両家の姓または新郎新婦の名前
のし紙の下の段には、引出物の贈り主の名前を書きますが、名前の入れ方にはさまざまなパターンがあります。
ひとつ目は、両家の姓を書くパターンです。元々、引出物というのは、両家からの贈り物という意味があるため、これが最も一般的な書き方とされています。
両家の姓を書く際には、新郎の姓を右側に、新婦の姓を左側に書くのが一般的です。結婚式の前に入籍を済ませている場合であってものし紙には旧姓を書きます。また、新郎が婿養子に入る場合、かつては左右を逆にして書いていたこともありましたが、現代では明確な決まりはありません。両家で話し合いをして決めると良いでしょう。
ふたつ目は、新郎の姓名を書いて、その横に新婦の名前のみを記入するパターンです。その場合も、新郎が右側、新婦が左側になります。また、新郎が婿養子に入る場合には、右側に新婦の姓名を書き、左側に新郎の名前のみを書くこともあるようです。
三つ目は、新郎新婦の名前のみを並べて書くパターンです。結婚は個人同士の結びつきであると考えるカップルもおり、その場合には、右側に新郎の名前、左側に新婦の名前のみを並べます。
また、引出物の「記念品」には両家の名前を書き、引菓子には新郎新婦からのお土産という意味を込めて、二人の名前のみを入れるケースもあるようです。
のしの名前の書き方は、地域の風習などによっても書き方が異なるため、まずは両家の親に相談をしてみんなが納得するかたちを選ぶと良いでしょう。
水引は本数・色・結び方を守る
「水引(みずひき)」というのは、のし紙に掛ける飾り紐のことですが、現代では簡略化されてのし紙に印刷されているものが多くなっています。お祝い事の水引の本数は、3本、5本、7本と割り切れない本数にするのが一般的です。ただし、結婚式の引出物の場合には、5本を2束使った10本1組の水引を選びます。これは、両家が手を取り合って協力する様子や、「十分に満ち足りている」という意味から来ているものです。
また、引出物の場合、水引の色は「金・銀」や「赤・金」のほかに「紅白」を選ぶのが一般的です。金銀、紅白の場合には色の濃いほうが向かって左側に、色の薄いほうが右側に来るよう、赤金の水引は右側に赤が来るようにしましょう。
水引はどのようなシーンに用いるかによって結び方が異なるのも特徴です。一般的な贈り物にはシンプルな蝶結びの水引が用いられます。これは、蝶結びの形が無限を意味していて、「嬉しいことは何度あっても良い」という意味が込められているからです。一方、結婚式の引出物の水引は、「決してほどけない」「二度と繰り返さない」という意味が込められた「結び切り」という結び方を用います。
引出物の「のし」の掛け方
結婚式の引出物にはのしを掛けるのが一般的なマナーとされています。のしの掛け方には「外のし」と「内のし」の2つのパターンがありますが、どちらでなければいけないという厳密な決まりはありません。ここからは、それぞれの使い分け方やメリットを詳しくご紹介します。
外のし
「外のし」は、引出物を包装紙で包み、その上からのしを掛けることを意味します。外のしのメリットは、その贈り物が誰からのものかひと目で分かること。「寿」「名前」が受け取り手からすぐに確認することができるため、結婚式の引出物では「外のし」が用いられるケースが多いようです。
内のし
一方「内のし」というのは、引出物に直接のしを掛けて、上から包装紙で包む方法のことをいいます。内のしのメリットとしては、包装紙で新郎新婦の個性を表すことができるという点です。新郎新婦の好みの柄や新郎新婦らしさの伝わるデザインの包装紙で引出物を包み、オリジナルな演出ができます。
引出物における「のし」のポイント
最後に、上記でご紹介した以外に知っておくべき、引出物における「のし」のポイントをまとめてみました。
引出物の中には「のし」を付けないものも
引出物は「記念品」「引菓子」「縁起物」の3つをセットにして贈るのが一般的です。このうち「記念品」にはのしを付けるのがマナーですが、引菓子や縁起物は必ずしものしが必要というわけではありません。品物によってはのしを省略してもマナー違反ではないため、両家に相談しながら決めると良いでしょう。
内祝いや結婚式のお礼の品にも「のし」を付けるのが一般的
結婚式や披露宴に参加していない友人や同僚、会社の上司から、結婚のお祝いを頂くことも少なくありません。その場合には、お祝いに対する感謝の気持ちを込めてお返しの品を贈るのが一般的です。その際の贈り物にも「のし」をつけて渡しましょう。特に上司や目上の方への贈る場合には、のしがないと非常識な印象を受ける方もいるため注意が必要です。
なお、内祝いののしの書き方は、名目を「内祝い」とし、下の段には新郎新婦の名前を書くケースが多いようです。
カタログギフトにも「のし」をつけられる
近年では、引出物の「記念品」や内祝いの品物に「カタログギフト」を利用するカップルも増えています。カタログギフトは、持ち帰りの負担が軽減するだけでなく、受け取る側が好きな商品を自分で選ぶことができるのが大きな魅力ですが、カタログギフトを贈る場合ものしを付けるのが一般的です。
結婚式の引出物につけるのしについて、基本的な情報をお伝えしました。のしの意味を理解し、マナーに配慮した引出物を渡しましょう。なお、引出物にぴったりのマイプレシャスのカタログギフトなら、ご祝儀の相場やゲストの性別や家族構成などによって贈り分けをする際にも便利です。オンラインショップからのご注文であれば、「送料」「ラッピング」「のし」も無料となっていますので、引出物にカタログギフトをお探しの方は、ぜひご検討ください!