お香典を頂いた際に、お礼の気持ちとして贈る香典返し。直接手渡ししたほうが良いのか、配送で送っても問題無いのかと迷ってしまう方も少なくないと思います。今回は香典返しの正しい渡し方とそのときに添える挨拶の例をご紹介します。
香典返しは手渡しするべき? 配送ではマナー違反?
昔は、四十九日法要が終わった後、一軒一軒手渡しで香典返しを渡していました。しかし現在は、親戚も友人もばらばらの地域に住んでいることが多くなったため、配送するのが一般的になりました。
また、最近では、親しい間柄でも住所を知らないことが増えたので、当日返しをする場合もあります。地域によっては、当日返しが通例のところもあるので、必ずしも手渡ししなければいけないわけではありません。状況に応じた渡し方で、香典返しを贈りましょう。
また、香典返しは、お通夜や告別式で弔問客に直接手渡しする「当日返し」をする場合と、四十九日法要が済んだあとから1カ月程度の間に郵送でお返しする場合とがありますが、渡し方が違うからといって品物を変える必要はありません。
ただし、香典返しを郵送する場合は、品物代以外に送料が別途必要になります。お返しする人数によっては送料が大きな負担となってしまう場合もあるため気をつけましょう。
香典返しを手渡しする場合の渡し方
お通夜や告別式の当日返しなど、香典返しを手渡しする場合に気をつけたいポイントをご紹介します。
会葬御礼と間違われないように注意
会葬御礼は、お通夜や告別式に来てくださった方に、お香典の有無に関わらず、お渡しする品物です。香典返しとは別に用意します。香典返しと間違われてしまわないように、「お香典のお礼としてお納めください」とひと言添えて、お渡ししましょう。
表書きに「志」と書く
当日返しの表書きには、「志」と書いて贈るのが一般的です。「志」には、気持ちという意味があります。「粗供養」や「茶の子」と書いて贈る地域もあります。
挨拶状は不要
本来であれば、香典返しに挨拶状を添えますが、手渡しの場合、挨拶状は不要です。ただ、お通夜や告別式などで弔問客にお渡しする会葬御礼と一緒に、お礼状も添えるため、事前に用意しておきましょう。
のし紙は外掛けに
手渡しで直接、香典返しを贈る場合は、のし紙は「外掛け」が一般的です。「外掛け」とは、品物の包装紙の上に、のし紙を掛けることを言います。相手に贈った目的を明確に伝える意味もあります。
香典返しを手渡すときの注意点
香典返しを手渡しするときには、「葬儀への参列と香典を頂いたことに対するお礼」と「無事に法要を終えたことの報告」をお伝えします。その際、「ますます」「くれぐれも」といった重ね言葉や、忌み言葉を使わないように気をつけましょう。挨拶はできるだけ簡潔にし、お辞儀を丁寧にするということも大切なポイントです。
香典返しを手渡しする場合のお礼の言葉の例
香典返しを手渡しする場合には、お通夜や告別式への参列と香典を頂いたことに対するお礼を簡潔にお伝えしましょう。また、四十九日法要が終わった後にお渡しする場合には、法要が無事済んだことも合わせて報告します。
故人がお世話になった方(職場の人は除く)への挨拶
先日の葬儀の際には、お忙しいなかお越しいただき、またお心遣いを頂きありがとうございました。生前の懇意は私を含め家族一同とても感謝しております。親しい皆様に見送っていただき 故人もきっと喜んでいることと存じます。お陰さまで四十九日法要も滞りなく済ませることができました。ささやかですが、供養のしるしをお持ちいたしましたのでお納めください。
職場の上司や同僚への挨拶
この度はお心遣いを頂きありがとうございました。急なお休みをいただき大変ご迷惑をおかけしました。週明けには仕事へ戻りますので、どうぞよろしくお願いします。本日はお忙しいところありがとうございました。
香典返しを配送する場合の渡し方
忌明けなどに香典返しを配送する場合に、気をつけたいポイントをご紹介します。
挨拶状を添える
香典返しを贈る際、挨拶状を添えることが一般的なマナーです。挨拶状には、会葬の際のお礼の気持ちとともに、法要が済んだことの報告を書きます。また、香典返しを配送することについての理由や、書面での挨拶になってしまうことのお詫びも書き添えておきましょう。
到着日に気を配る
香典返しは、お礼の気持ちを込めて贈るものとはいえ、不祝儀の贈り物です。配送するにあたって、到着日が先方の慶事の予定に重なってしまうのは避けたいところです。もし、そのような先方の予定を知っているのであれば、日時指定などを利用して、到着日を調整するようにしましょう。
のし紙は内掛けに
配送で贈り物をする場合は、内掛けが一般的です。内掛けとは、品物に直接のし紙を掛け、その上から包装紙で包むことを言います。配送中に、のし紙が汚れてしまったり、破けてしまったりするのを防ぎます。
香典返しを配送する場合に添える挨拶状の書き方のマナー
香典返しに添えるお礼状には、書き方のルールがあります。知らずに書いてしまうと、失礼にあたることもあるので注意が必要です。では、具体的にどのような点に気をつけてお礼状を書いたら良いのでしょうかおも主なポイントは以下の通りです。
季節の挨拶は使用しない
通常の手紙では、最初に時候の挨拶を入れるのがマナーですが、香典返しに添えるお礼状では使用しません。代わりに、「拝啓」「敬具」などの頭語、結語を使うのが一般的です。
句読点を使用しない
さまざまな法要が無事に進むようにという思いから、「止める」という意味を持つ句読点は、香典返しに添えるお礼状では使わないのがマナーです。
重ね言葉や忌み言葉などは使わない
「たびたび」「ますます」「次に」「また」など不幸が続くことを連想させる重ね言葉や忌み言葉などを使うのもマナー違反です。
敬語の使い方にも気をつける
自分の身内に対しては「逝去」ではなく「死去」を使用するなど、敬語の使い方にも注意が必要です。
香典返しを配送する場合に添える挨拶状の例
香典返しを郵送などで贈る場合には、お返しの品にお礼状を添えるのがマナーです。お礼状には、葬儀への参列と香典を頂いたことに対するお礼、四十九日の法要が無事に済んだことの報告、香典返しの品をお送りする旨を忘れずに記載しましょう。
故人がお世話になった方(職場の人は除く)への挨拶状
先日はご多忙中のところ 亡父△△△△の葬儀にご会葬賜り かつご丁重なご厚志を賜りまして 誠にありがたく厚く御礼申しあげます
葬儀の際は万事行き届かぬ点ばかり多く申し訳なく存じております
お陰をもちまして△月△日に四十九日の法要を滞りなく済ませることができました
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたします
何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところ略式ながら書中を持ちましてご挨拶とさせていただきます
職場の上司や同僚への挨拶状
先日は 亡夫△△△△の葬儀に際しましては
ご鄭重なるご弔詞並びにご厚志を賜り 有難く厚く御礼申し上げます
お蔭をもちまして〇月〇日に四十九日の法要を営みました
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたします
何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところ
略儀ながら書中を持ちまして謹んでご挨拶申し上げます
このように、香典返しを手渡しする場合でも、配送する場合でも、お礼の気持ちを持って相手に贈ることには変わりはありません。どちらの場合でも、礼儀を持って、香典返しを贈りましょう。