婚約のしるしに品物を取りかわす「結納」の儀式は、日本の伝統的な習わしの一つです。新郎の家から新婦の家へ品を納め、それに対して新婦側は「結納返し」を新郎の家へと納めます。
正式な結納返しでは、「目録」「御袴料(おんはかまりょう)」「家内喜多留(やなぎだる)」「熨斗(のし)」「子生婦(こんぶ)」「寿留女(するめ)」「友白髪(ともしらが)」「末広(すえひろ)」を納めますが、最近では簡略化されることも多く、「御袴料」のみの場合は、それを品物で贈ることも少なくありません。ここでは結納返しの贈り物をするときの選び方について紹介します。
結納返しを物で贈るときの相場の目安
結納返しの基本的な考え方として、関東では結納金の半分程度、関西では一割程度というのが目安となります。結納金の相場が100万円と考えると、50万円くらいまでが結納返しの相場ということになりそうです。品物で贈る場合もこの金額を目安に選ぶと良いでしょう。
ただし、金額には地域によってかなり差があり、場所によっては結納返しというもの自体がないところもあるので、事前に双方の両親や親戚などに確認しておく必要があります。
結納返しの記念品で避けたほうが良いもの
結納で選ばれる品物は、記念品として長く大切に使えるものという考え方が主流です。そのため男性から女性への贈り物は婚約指輪や、それと同等の貴金属類が一般的です。結納返しはそのお返しとなる品物ですから、やはり長く大切に使えるものが基本となり、腕時計やスーツなどが定番とされています。それゆえに長く大切に使えないもの=消耗品は避けたほうが良いでしょう。最近は、実用的な品物を選ぶケースも増えていますが、婚約の記念としてふさわしい品となることを心がけましょう。
結納返しを贈るときのおすすめの商品
結納返しの品物は「長く大切に使えるもの」が基本です。それを念頭に婚約の記念となるものを選びましょう。
スーツ
結納返しを品物で贈るとき、のしの表書きは「御袴料」とするのが一般的です。これは男性の袴(はかま)を仕立てるお金として用意されていたものを、品物に変えて贈るようになったという背景があるからです。つまり袴に代わるものとして、スーツを贈るというのは伝統にも沿っていて、結納返しにはぴったりの品物ともいえます。
さらにそれが礼服であれば、この先の冠婚葬祭で長く使うことも可能です。ただし、オーダーメイドの品を贈る場合は、仕立てが結納返しのタイミングに間に合わないということもあります。その際は、当日は目録で渡し、後日、あらためて仕立てるというのでも良いでしょう。
腕時計
スーツとおなじく、男性の身に着けるものとして腕時計も結納返しの定番です。大切に扱えば一生使えるような質の良い腕時計も選べますし、これから一緒に時を刻んで行く想いも加わり、記念品という意味でも好まれます。また値段にも幅があるので、結納返しとしての選びやすさもあります。
カタログギフト
さまざまな商品が揃うカタログギフト。まず金額を設定して選べるところが、結納返しに適しています。また、商品のジャンルは贈る側でセレクトしながらも、最終的に本人の好みのものが選べるので、気持ちを込めながらも相手の好みにぴったりと合ったものを贈れます。自分では買わないような品物を望む方から、実用的な品物を望む方まで、カタログギフトなら幅広く対応できるでしょう。
伝統にとらわれず、結納返しの品物も多様化してはいますが、基本的には記念品となるものですからじっくりと選びましょう。また家と家との贈り物でもあるので、両親ともよく相談して決めることも忘れずに。これから人生をともに歩むパートナーのことを思い、素敵な贈り物ができると良いですね。