入院していた方の状態が良くなって退院したときのお祝いに「退院祝い」と「快気祝い」があります。実は、この2つには大きな違いがあります。それは、贈り主の立場です。
贈り主の立場によって、「退院祝い」を贈るか、「快気祝い」を贈るかが決まります。本当は「退院祝い」なのに「快気祝い」ののしをつけて贈ってしまうと、マナー違反となってしまうことも。今回は、「退院祝い」と「快気祝い」の違いを分かりやすく説明します。
退院祝いとは?
退院祝いは、入院していた方が退院したことをお祝いして、身内や友人、知人などが贈るものです。退院後に通院したり自宅療養をしたりということもあるかもしれませんが、退院祝いは「退院できて何よりです」という気持ちを込めたもの。また、タイミングが合わずお見舞いに行けなかった場合、退院祝いを贈るという方法もあります。
ちなみに、お見舞いと退院祝いは、両方をする必要はなく、どちらか一方で構わないとされています。入院期間が5日だったのに、お見舞いをして退院祝いも贈るとなると負担になりますし、受け取るほうも気を遣ってしまうでしょう。ただし、入院が長期に渡った場合、お見舞いに訪れたタイミングによっては、退院したときに退院祝いも贈るケースはあります。
快気祝いとは?
快気祝いは、入院中にお見舞いに来てくれた方や気遣ってくれた方に対して、退院した後に本人の名前で贈るものです。お礼の気持ちを伝えると同時に、病気やケガが良くなり、「元気になりました」と挨拶をするものだと考えると分かりやすいでしょう。
退院祝いを贈るときのマナー
次に、退院祝いを贈るときのマナーを確認しておきましょう。
金額の相場は?
金額は、お見舞いと同程度が一般的な相場となっています。具体的には、次の通りです。
- 友人や知人の場合… 3,000円~5,000円
- 親戚や兄弟姉妹の場合… 5,000円~1万円
- 職場関係の場合… 3,000円~5,000円
のしと表書きは?
のしは、紅白の結び切りの水引がついたものを使います。結び切りは、一度結んでしまうとほどくことができません。「一回限りで、二度と繰り返してほしくない」ことに使うもの。退院できたこと自体はおめでたいことですが、入院のきっかけとなった病気やケガは、もう起きてほしくないことです。花結びの水引は、何回あっても良いとされるお祝いに使うものなので、気をつけましょう。
表書きは、一般的には「祝御退院」「御祝い」「御退院祝」のいずれかを使います。全快していることが分かっている場合は「祝御全快」としても良いでしょう。退院はしたけれど自宅療養を続ける場合は、全快を祈っているという気持ちを込めて「祈御全快」と記すこともできます。のしの下側には、贈る方の名前を書き添えます。
なお、退院祝いを贈るタイミングは、退院後1週間から、遅くとも1カ月を目安にします。もしも何らかの事情があり、1カ月以上経ってしまったときには、のしの表書きを変えて対応すると良いでしょう。すっかり元気になっているのであれば「快復祝い」、自宅での療養や通院を続けているのであれば「お見舞い」が無難です。退院して時間が経っているのに「祝御退院」ののしで贈って「なぜ今頃?」と、いぶかしがられてしまうのも残念なこと。相手の状況とタイミングに合った表書きにしましょう。
おすすめの品物
基本的には、食べたり使ったりするとなくなるもの、いわゆる「消え物」を贈るのが良いとされています。日用品では、体調不良を「洗い流す」という意味を込めた洗剤や石鹸がおすすめ。食べ物の場合は、のど越しの良いゼリーやプリン、新鮮なフルーツはいかがでしょうか。入院したきっかけにもよりますが、あまり食欲がないというときにも、これなら喜んでもらえそうです。
お花も人気がありますが、鉢植えは贈らないようにします。入院のお見舞いでも鉢植えがNGとされているのは、「根付く」=「退院できない」という連想につながるからです。そのほか、白菊など弔事で定番となっている花、「死」や「苦」を感じさせるシクラメンも避けたほうが良いでしょう。おすすめは、花びんを用意する手間のいらないフラワーアレンジメントです。
快気祝いを贈るときのマナー
次に快気祝です。入院していた本人から贈る快気祝いの相場、のしなどはどのようにしたら良いのでしょうか。
金額の相場は?
快気祝いを贈るときの相場は、頂いたお見舞いの1/3~半額程度となっています。お見舞いの金額が5,000円なら2,500円程度、1万円なら5,000円程度のものを選ぶと良いでしょう。
のしと表書きは?
のしは、退院祝いと同じ理由で、紅白の結び切りを使います。表書きは「快気祝」とし、下に名前を記します。「退院はしたけれど全快というわけではない」という場合は、「御見舞御礼」としても良いでしょう。
贈るタイミングは、退院してから10日頃を目安に準備をします。遅くとも、退院後1カ月までには届くように手配をすることがマナーです。相手も心配してお見舞いを届けてくれたわけですから、その気持ちには早めに応えるようにしましょう。
おすすめの品物は
おすすめの品物も「退院祝い」と同じで、「消えてなくなるもの」「洗い流せるもの」が縁起をかつぐ上でも良いとされています。病気を洗い流すという意味を込めた石鹸や洗剤、溶けてなくなってしまう砂糖やお菓子が定番です。
退院祝いで贈る食べ物は相手の体調を気遣いましたが、快気祝に関してはその必要はありません。もちろん相手の好みの問題はありますが、誰にでも喜ばれる焼き菓子やチョコレートなども選択肢のひとつです。
退院祝いと快気祝いの違い、贈るときのマナーについてお伝えしました。「退院した」ということは同じでも、退院した方に贈るのか、退院した本人が贈るのかで、のしの表書きも違ってきます。間違えるとちょっと恥ずかしい思いをすることに……。相手に気持ち良く贈り物を受け取ってもらうためにも、両者の違いをきちんと把握して手配するようにしましょう。