政治家への贈り物は、「公職選挙法」と「政治資金規正法」によって規制されていますので、選挙当選祝いを贈る際には気をつけなくてはいけないことがあります。
「政治とは関係なく、個人として知人の当選をお祝いしたいだけだから…」と思う人もいるかもしれませんが、相手が政治家である以上は、法律に触れないよう配慮しなければなりません。ここでは、選挙当選祝いを贈る際の注意点について見ていきましょう。
選挙当選祝いとして絶対に贈っていけないものとは
一般に選挙当選祝いは、「政治活動(選挙活動を除く)への寄附」とみなされます。
そして個人から政治家個人に「金銭等」を贈ることは、政治資金規正法で禁じられています。「金銭等」とは、現金、小切手、商品券、株券などの有価証券のこと。選挙当選祝いとして「ご祝儀(現金)」や「商品券」を贈ることは、法律違反になります。
さらに「会社」や「労働組合その他の団体」から政治家個人へは、一切の寄附が禁止されています。そのため、個人事業主が会社名で当選祝いの物品を贈ることは法律違反になります。
政治資金規正法で認められている寄附は以下になります。
個人から政党・政治資金団体へ
年間総額2,000万円以内の現金、物品等を贈ることが可能
(同一者による寄附が年間50,001円以上の場合、収支報告書に記載義務あり)
個人から政治家個人へ
年間150万円以内で、物品による寄附が可能。金銭等の寄附は禁止。
会社・労働組合から政党・政治資金団体へ
資本金に応じて年間750万~1億円までの現金、物品等による寄附が可能。
(同一者による寄附が年間50,001円以上の場合、収支報告書に記載義務あり)
会社・労働組合から政治家個人へ
一切の寄附が禁止。
この規定には罰則が設けられています。違反した場合の以下のような罰則があります。
量的制限違反(認められた額を超えて寄附をした場合など)
1年以下の禁固、50万円以下の罰金など。
質的制限違反(贈ってはいけない現金を贈った場合など)
3年以下の禁固、50万円以下の罰金など。
選挙当選祝いを贈ったせいで自分が罰則を受けたり、贈った相手が当選取り消しになったりすることは絶対避けたいですよね。不安な場合は、地域の選挙管理委員会に問い合わせをして、贈る物品や贈り方が違反ではないかを確認すると安心です。
選挙当選祝いの相場
選挙当選祝いは、「当選が決定してからおよそ1週間以内」に贈るようにします。早く祝おうとして当選確実の時点でお祝いを贈るのは危険です。当選確実が出ても落選するケースがあるので、お祝いを届けるのは開票が終了して当選が決定してからにしましょう。
選挙当選祝いは、通常2~5万円が相場とされています。
5万円を超える贈り物は、選挙管理委員会へ提出する収支報告書に寄付者の情報を記載しなければならないので、特別な関係でなければ5万円以下に抑えるのが一般的です。
選挙当選祝いの選び方
政治家個人への当選祝いは、「公職選挙法」と「政治資金規正法 」に違反しないように「現金類を贈らない」「会社や組合、団体名で贈らない」「5万円以上の高価な物は避ける(間柄によっては可)」のポイントに注意してお祝いの品を選びます。選挙当選祝いの定番アイテム、おすすめアイテムは以下になります。
胡蝶蘭
華やかで高級感があり、「幸福が飛んでくる」という縁起の良い花言葉を持つため、お祝いの場にふさわしい人気の鉢植えです。
お酒
祝い酒や祝い樽(こもかぶり)が並ぶ光景はおめでたく、場の雰囲気を明るくします。お酒を贈ること自体は問題ありませんが、受け取った政治家がもらった酒を支援者などへふるまうのは公職選挙法違反(第199条の2)になる恐れがあります。
電化製品
事務所で使える電化製品(コーヒーメーカーやプリンターなど)は実用的で嬉しい贈り物です。電化製品は同じものが複数あっても困るので、被りがないよう事前に確認すると良いでしょう。
カタログギフト
商品券やビール券は金銭等として扱われますが、カタログギフトは物品扱いになりますので、選挙当選祝いとして贈ることができます。相手が好きなものを選ぶことのできるとても便利な贈り物です。
ただし、カタログの中から食べ物やお酒を選び、それを支援者などにふるまうことは公職選挙法違反になる恐れがありますので注意が必要です。
選挙当選祝いを贈るときは、政治家への寄附であることを忘れないようにしましょう! 上記を参考に、法律に違反しない選挙当選祝いを贈ってください。