企業や個人事業主にとって、年始のご挨拶は重要な仕事のひとつ。お世話になっている方々にお年賀や年賀状を贈ることは、より良好な関係を築いていくことに繋がるからです。では、取引先にお年賀や年賀状を贈る場合、経理処理はどのように行えば良いのでしょうか? いざというときに困らないように、ここではお年賀を経理処理する際の勘定科目と仕訳の書き方についてご紹介しましょう。
年賀状を送る場合の勘定科目
新年のご挨拶を目的として年賀状を送る際の勘定科目は、何になるのでしょうか?
はがきを購入した場合、会計上の仕訳は「通信費」となるのが一般的です。通信費とはその名の通り「通信」のためにかかった費用で、ほかにも電話代やインターネット関連費、郵便切手代や配送料金などがこれに該当します。従って、年賀状(=はがき)も通信費とするのが良いでしょう。
厳密に言えば、年賀状の印刷を外部に委託する際の印刷費は「支払手数料」、自社で年賀状を印刷する際のプリンターやインク代は「消耗品費」となるのですが、あまり金額が大きくない場合は年賀状にかかった費用すべてを「通信費」とまとめても問題ありません。
挨拶ではなく広告目的の場合
自社名や商品名などをプリントした「年賀タオル」を配る場合であれば、通信費ではなく「広告宣伝費」とするのが適切です。なぜなら、これは新年のご挨拶を目的とするのではなく、自社名や扱っている商品・サービスなどを広く一般に認知してもらう「宣伝効果」を得ることを目的としているためです。例えば年賀状を送る場合でも、小売業者や飲食業者がお客様に対し「この年賀状を持参したら割引!」などと明記して送付すると「お店の宣伝」になるため、通信費でなく「広告宣伝費」とします。
物品を贈答するような場合
年賀状や年賀タオルではなく、お菓子などの物品をお年賀として贈る場合は「接待交際費」とします。「接待交際費」とは、得意先や仕入れ先などにいる関係者との「お付き合い」や「おもてなし」に使うお金のこと。お中元やお歳暮、相手先への訪問時に持参するちょっとした手土産などについても同様の処理を行います。
お年賀の仕訳の書き方
ここでは、得意先に年賀状を送った場合の勘定科目の仕訳についてご説明します。
年賀はがき100枚の購入費(5,200円)と印刷代(4,500円)を現金で支払い、どちらも「通信費」として処理をする場合は、以下のように書きます。
借方科目:通信費 金額:9,700 円 貸方科目:現金
年賀はがき100枚の購入費(5,200円)を現金で支払い「通信費」として処理、印刷代(4,500円)は「支払手数料」として処理する場合は、以下のように書きます。
借方科目:通信費 金額:5,200 円 貸方科目:現金
借方科目:支払手数料 金額:4,500 貸方科目:―
上記のように、お年賀は贈る目的によって「通信費」「広告宣伝費」「接待交際費」と勘定科目が変わります。しかし、その分け方に明確なルールはありません。社内や組織内ごとに経理のルールを作成し、継続していくことが大切なのです。それでもお年賀の処理に悩んでしまったときには、上記を参考にして仕訳を行いましょう。