経理担当者が頭を悩ませることの一つに「勘定科目」があります。同一の品物に払ったお金であっても、その経費金額をどういった名目で計上するかは、使う用途によって変わってきます。ここではお中元やお歳暮の勘定科目と、仕訳の書き方について説明します。
取引先に対してお歳暮やお中元を贈った場合
盆暮れに取引先へお中元やお歳暮を贈った場合、贈答品は取引先とのビジネスを潤滑にするために必要な出費という意味で、勘定科目は「接待交際費」になります。ただし、渡す品がカレンダーや年賀タオル(てぬぐい)など、不特定多数に渡すもので宣伝的効果を持つものである場合は、会社の宣伝が主目的になるため、製作費用は「広告宣伝費」に分類されます。
接待交際費の定義
営業目的やその他の目的のために仕入先や事業の関係者に対して接待・供応・慰安・贈答などをおこなった場合に、支出した費用を管理するための勘定科目。
接待交際費にあたるもの
取引先の接待飲食費、お土産代、お車代、プレゼント代、接待ゴルフなどの施設利用料・プレー代・コンペ費用、開業祝い、移転・新築祝い、取引先および事業関係者へのお中元・お歳暮、取引先への慶弔金(結婚祝い、お見舞い、香典など)。
従業員にお中元を贈った場合
従業員に会社からお中元やお歳暮を贈った場合は、「事業に関係のある者に対する贈答」にあたるので、勘定科目は「接待交際費」になります。
仕訳の書き方
「仕訳」とは、簿記上の取引を「借方」と「貸方」に分けて、仕訳帳へ書き込むことを言います。簿記上の取引とは、会社の財産などが増減する取引のことです。取引の要素を、「借方」と「貸方」で左右に分類することで、会社の何が増えて何が減ったのかを明確にすることができます。例えば取引先にお歳暮を贈った場合は、「借方」は「接待交際費」という勘定科目になり、「貸方」は現金になります。つまり会社の接待交際レベルが増加して、現金レベルが減少したことを表しています。仕訳する記入の仕方は以下のようになります。
お歳暮代金合計が45,000円と仮定した場合
接待交際費 45,000 円 / 現金 45,000 円
個人事業主(資本金額または出資金額が1億円以下の法人)の場合、接待交際費に上限はありません。接待交際費で使った金額は、全額経費として認められます。
接待交際費と間違いやすい経費
勘定科目で「接待交際費」と間違いやすい経費に、「会議費」と「福利厚生費」があります。「接待交際費」は、取引先や仕入先その他事業関係者に対して接待や慰安を目的としたものです。これに対して、打ち合わせや社内会議など会議を目的とした費用は「会議費」になり、もっぱら従業員の慰労を目的とした費用は「福利厚生費」になります。
つまり取引先と飲食店を利用した場合、ただ食事をしたのなら飲食費は「接待交際費」、食べながら打ち合わせをした場合は「会議費」になります。「接待交際費」と「会議費」は違いが不明確になりやすいので、飲食費に関しては5,000円以下を「会議費」、5,000円以上は「接待交際費」として計上することになっています。
従業員にお中元を贈った場合は先に述べた通り「接待交際費」になりますが、従業員の慶弔金(結婚祝い、出産祝い、お見舞い、香典)は「福利厚生費」になります。
勘定科目の見極めと仕訳は、経理担当者に欠かせない業務です。お中元・お歳暮などの計上に迷ったら、上記を参照に仕訳してください。