結婚式でゲストの方々に配られる「引出物」は、「メインのギフト」と「引菓子」、そして「縁起物」の3つがセットとなっているのが一般的です。その中でも「縁起物」というのはあまり耳慣れず、どのような物を選んだら良いのか分からないというカップルの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、引出物に添える「縁起物」について詳しく解説していきます。
引出物に添える縁起物とは?
「縁起物」というのは、その言葉の通り「縁起が良い」とされるもののことを意味します。日本では昔から、結婚式をはじめとする人生の節目には縁起物を贈るという風習がありました。自分達の幸せをお裾分けし、相手にも「良いことがありますように」という願いを込めて贈る物で、縁起やおもてなしの心を大切にする日本人ならではの心遣いだといえます。具体的には、「喜ぶ」という意味を持つ「昆布」、長寿や健康の源として象徴とされている「梅干し」、災いを避けて福をもたらすとされている「赤飯」などです。
では、実際に縁起物を準備する場合、どのくらいの金額のものを選んだら良いのでしょうか。一般的に縁起物というのは「メインのギフトに添えるもの」という位置づけですので、相場としては500円~1,000円がひとつの目安となります。近年は引出物のメインをゲストに合わせて贈り分けするように、縁起物もゲストによって変える方もいます。
例えば、独身男性のゲストに昆布や梅干しを贈っても受け取った側が困ってしまうこともあるからです。そうした場合には、縁起物ではなくプチギフトを代わりに贈るという方法も選択肢のひとつでしょう。
引出物に縁起物を添える理由
日本では古くから、結婚式をはじめとするお祝いの場では「割れる・分ける」ということを連想させるものはタブーとされてきました。そのため、お祝儀も割り切れる偶数ではなく、割り切れない奇数にするというのが一般的なマナーとして浸透しています。結婚式の引出物に縁起物を添えるのもそうした古くからの風習が大きく影響していて、メインのギフトと引菓子だけでは偶数になってしまうため、縁起物を添えて奇数にしているというわけです。
ただし、縁起物は地域によっても考え方が異なり、「必ずしも入れなくてはならないもの」というわけではありません。最近では、縁起物の代わりに素敵なプチギフトを用意して品数を調整したり、縁起物を入れずにその分メインのギフトをグレードアップしたりするカップルも増えていて、ひと昔前よりは縁起物に対する考え方も柔軟になってきています。
その一方で、決まった縁起物を必ず入れなくてはいけない風習が根強く残る地域や、縁起物を1点ではなく数点用意しなくてはいけないという地域があるのも事実です。新郎側と新婦側で出身地が違えば、縁起物に対する考え方も複雑になってしまいますので、不安な場合には担当のウエディングプランナーや両家の年長者に確認をしておいたほうが安心でしょう。
引出物に入れる縁起物の種類
縁起物というのは、「贈る相手も幸せになりますように」という思いが込められた日本人ならではの心遣いを感じる一品です。では、実際に縁起物を添える場合、どのような品物を選べば良いのでしょうか。ここでは、定番の縁起物をいくつかご紹介していきます。
かつおぶし
出汁としてはもちろん料理の薬味としても使える「かつおぶし」は、実用性の高い縁起物の定番です。かつおぶしには、鰹の背側の身を使った「雄節」と腹側の身を使った「雌節」があり、両方を合わせるとぴったりくっつくかたちをしています。そのため、「仲の良い夫婦の象徴」として、引出物に添える縁起物として人気です。とても軽く、引出物を持ち帰るゲストの負担にならないのも魅力のひとつでしょう。
昆布
「喜ぶ→よろこんぶ→昆布」の語呂合わせで結婚式の縁起物として人気の「昆布」。その昔は昆布のことを「広布(ひろめ)」と読んでいたことから、結婚式の「お披露目」にぴったりだとも言われています。縁起物として贈るときには、昆布そのものはもちろん、昆布茶、昆布出汁のお茶漬けセットなど誰でも扱いやすいものもおすすめです。
バウムクーヘン
年輪のような見た目から「いつまでも続く幸せ」を連想させるバウムクーヘンも、人気の高い縁起物の一つです。おいしさはもちろん、箱やパッケージのデザインがかわいいものも多く、引出物を華やかにしてくれます。
お箸
近年縁起物の定番として人気の高い「お箸」。日本人の食卓に欠かせないもので、「食べるものに困らない」という意味合いがあり、また、「幸せの架け橋」の「はし」にちなんだ縁起の良いアイテムとして縁起物に選ばれています。ゲストの世代によって、拭き漆などのシンプルなお箸や、かわいいデザインのものなどを贈り分けるのもおすすめです。
結婚式に出席してくれたゲストの幸せを願う「縁起物」。上記でご紹介した内容を参考にして、喜んでいただける縁起物を入れてみてはいかがでしょうか。