結婚式に参列してくれたゲストへ贈る「引出物」。これまでお世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えるための大切な贈り物ですが、どんなものを選ぶべきか分からずに悩んでしまうカップルも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、大切なゲストへ贈る引出物を選ぶ際の相場やマナー、選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
引出物とは?
引出物というのは、結婚披露宴などの際に新郎新婦からゲストの方々へ感謝の気持ちを込めて配られる贈り物のことです。
現代では「ゲストから頂いたお祝いに対するお返し」という意味合いで贈られるのが一般的になっている、この引出物。元々の起源は平安時代に宴を開いた貴族が、その成功を祝うために招待客へのみやげ物として馬を庭に「引き出して」披露してから贈ったことが由来だとされています。
そしてその後、結婚式というものが庶民の間にも浸透するようになった明治以降には、引出物も結婚式の贈り物として一般に広まっていったようです。なお、ひと昔前までの引出物は、「ゲストのご家族にも幸せが行き届きますように」という願いを込めて、披露宴で振る舞った料理の一部を折詰にして持ち帰っていただくのが一般的でした。このように、引出物というのは時代の流れに合わせてさまざまにかたちを変えてきましたが、「感謝の気持ちを伝えたい」、「喜んでもらいたい」という思いはいつの時代も同じなのです。
引出物の相場の目安
引出物を準備するにあたって気になるのが、どのくらいの予算にすれば良いのかということ。引出物に対する考え方は地域によって差がありますが、ひとつの目安としては、「結婚披露宴の食事の1/3の金額」と言われています。例えば、披露宴で1万5千円の料理と飲み物を出す場合、引出物は5,000円という具合です。
また、最近ではゲストの立場、性別、好みによって引出物を変える「贈り分け」を行うケースも増えていて、その場合は5,000円~1万円が相場となっています。
引出物ののしはどれにすればいい?
贈り物などに付ける「熨斗(のし)」は、その用途によっても書き方や水引の種類が異なります。最近では堅苦しさを避けるために、引出物にのしを付けないという考えのカップルも増えていますが、ご年配のゲストの中にはのしがないことをマナー違反と感じる方もいる可能性もあるため、のしはつけておくほうが安心です。
その際には、水引は「紅白の結び切り」、表書きは「寿」とすると良いでしょう。また、表書きの下の段には、右側に新郎の姓、左側に新婦の姓というように両家の姓を書くのが一般的です。なお、すでに入籍済みの場合も旧姓で書きます。
引出物の選び方と知っておきたいマナー
では、実際に引出物を選ぶ場合、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。引出物の選び方と押さえておくべきおもなマナーを詳しく見ていきましょう。
品数は偶数ではなく奇数にする
日本では昔から、結婚式をはじめとするお祝いの場では「割れる・分ける」を連想させる「偶数」を避ける傾向にあります。ご祝儀を2万円、4万円という偶数の金額ではなく、3万円、5万円という奇数の金額にするのもそのためです。
引出物を選ぶ際には同様に、「メインのギフト」と「引菓子」の組み合わせ以外に縁起物などをプラスして合計で奇数になるようにしましょう。なお、結婚披露宴の最後にゲストへ手渡しするプチギフトは、引出物としてカウントしませんので気をつけましょう。
縁起の悪いものを渡すのは避ける
「夫婦の仲が壊れる」、「縁が切れる」ということを連想させる「割れ物」や「刃物」などは、縁起が悪いため引出物にはふさわしくないという考えもあります。具体的には、陶器やガラス製品、包丁、はさみなどです。とはいえ、近頃では有名ブランドの食器や、キッチングッズなどを引出物として贈るカップルも増えていますし、カタログギフトの中にも食器や包丁などが入っているものも多いので、それほど神経質にならなくても良さそうです。
場合によっては贈り分けを
引出物というのは、ゲスト全員に同じ物を配るのが一般的ですが、ゲストの立場や年齢、好みなどが異なる場合には、引出物の種類をゲストごとに変える「贈り分け」をするのもおすすめです。例えば、あらかじめ頂くご祝儀を予測し、その金額に応じて商品の金額を分けたり、もうひと品プラスしたりというのも方法の一つでしょう。もちろん、その場合には引出物を入れる袋のサイズや柄などを統一し、引出物を贈り分けしていることがゲストに分からないよう配慮することも大切です。
引出物選びの際には、上記でご紹介した内容を参考にしてみましょう。なお、お住まいの地域によっては、その地域ならではの慣習が根強く残っている場合もあります。両家の意向を聞いてみたり、担当のウエディングプランナーに相談したりしながら、マナー違反にならないように引出物を選びましょう。