長い間勤め続けた人に、その労に敬意を表し、表彰と記念品を贈答する――――終身雇用制度がゆらぎつつある現在の日本ですが、このような考え方はもちろんまだ残っています。
そこで、今回は永年勤続表彰に関する贈答品について見ていきましょう。
永年勤続者の対象とは?
長年勤めた人に対して、贈り物や表彰が行われる場合、「永年勤続は何年目以降だ」という明確な区分があるわけではありません。ただし、一般的には、10年目、あるいはそれから先の節目を指すと言われています。国税庁でも「勤続年数がおおむね10年以上であることを対象としていること」と記載されています。また、同様にして「同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること」という記載もあり、5年ごとを節目として、表彰しているところもあるようです。
出典:国税庁ホームページ
永年勤続者にギフトを贈る際の注意点
永年勤続表彰の際にギフトを贈る際には、国税庁のホームページで掲げられている要件を満たすことで、給与として課税しなくてもよいことになっています。
- (1)その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
- (2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
- (3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。
つまり、「まだ3年しか勤めていないけれど、永年勤続として表彰しよう」「2年前に表彰したけれど、また表彰しよう」「思い切って100万円の車を贈ろう」などの行為は、認められません。
金額の相場はいくらくらい?
(1)の「相当な金額以内」がどれくらいの相場なのか分からない、という人も多いのではないでしょうか。
これはなかなか判断が難しいのですが、5~20万円以内がひとつの相場と考えられています。賞与に加え、これに休暇がプラスされることが多いようです。
例えば、10年勤務で5万円、20年勤務で10万円、30年勤務で15万と増えていく企業もありますし、15年では5日間の特別休暇を付与、勤続25年では表彰状とともに10日間の特別休暇を付与し、さらに祝い金として26万円を支給するような企業もあります。
どんな記念品が適切か?
金額だけではなくもうひとつ考えたいのは、「どのような記念品が適当か」ということです。永年勤続表彰で贈られるギフトの中で、これまでに紹介した条件を満たしている場合は、旅行券や会社の記念品などは福利厚生費となり、非課税です。ビール券や商品券の譲渡の関しても非課税になることもあるので、税金についてはあまり心配しなくてよいでしょう。
記念品を贈ってもよいのですが、やはり、喜ばれるのは「選択の自由」があるもの。永年勤続表彰を受ける人の場合、「家庭」を持っていることも多いので、家族ぐるみで楽しめるものを贈るのがおすすめです。
選べるグルメや旅行券、大人が使うのにふさわしい上等なアイテムをのせたカタログギフト、商品券なども喜ばれます。
「今までありがとう、これからもよろしく」という気持ちを、会社側から伝えることができる永年勤続表彰。これから先も一生懸命働いていけるように、社員の労を労い、お礼を伝えることは非常に大切です。後輩のモチベーションアップにもつながるでしょう。