香典返しとは？ 法要の引出物とは品物が異なる？

日本には古くより「香典返し」の習慣があります。故人のために大切な時間を割いてお通夜や葬儀に参列してくださった方々へお返しをすることです。地域ごとに異なるルールやマナーも存在しますが、ここでは一般的なものについて紹介していきます。

香典返しとは

香典返しとは、お通夜や葬儀、忌中法要の際に故人へお供えしていただいた香典へのお返しです。多忙な中で参列してくださったことへのお礼と、「無事に法要が終わりました」という報告を兼ね、忌明け法要（四十九日）の終了後から一カ月以内に挨拶状を添えてお贈りします。

ただし、香典返しの相場や、品物に掛ける水引の色は地方によって異なる場合があるので注意が必要です。

香典返しの予算の目安

香典返しの予算は、頂いた金品の半額＝「半返し」が基本です。香典には急な不幸や出費に対する“互助”の意味合いがあるため、頂いた香典と同額の品物をお返しする必要はなく、その半額相当が目安となっています。

本来は忌明けの時期に贈るものですが、最近では事前に用意して葬儀の当日に香典返しをする「当日返し」もよく見られます。その場合は3,000円程度の品物をお渡しする方が多いようです。このとき、頂いた香典が6,000円までであれば、当日返しが「半返し」（3,000円）となりますので、それ以上のお返しは要りません。

しかし、香典返しの倍額を上回る6,000円以上の香典を包んでくださった参列者には、忌明けにあらためて差額分をお返しする必要があります。もし頂いた香典が１万円であれば、半返しは5,000円。すでに3,000円の当日返しをしているので、残る2,000円分の商品を香典返しとして贈りましょう。

ただ、身内や親族、目上の方などから高額の香典を頂いた場合、必ずしも半返しをする必要はありません。故人や遺族への気持ちとしてありがたく受け取り、その１/３、１/４程度の香典返しをしておきましょう。あとは折々のご挨拶などの際に、少しずつお返しをしていけばよいのです。

香典返しで避けたほうがよい品物

頂いた香典へのお礼を兼ねた香典返しですが、どんな品物でもよいというわけではないので、気をつけましょう。

例えば、肉や魚は、地域の風習や宗教上の理由により避けられてきました。お祝いの席でふるまわれることの多いお酒、慶事を象徴する鰹節や昆布も、香典返しにはふさわしくない品に該当します。

品物ではありませんが、金額がはっきりと分かってしまう商品券や金券、現金もあまりよく思わない方もいるため香典返しでは避けたほうがよいでしょう。ただし、最近では好きなものに使ってもらえるという理由で、香典返しで商品券を贈る方も増えてきました。

香典返しに適した品物

香典返しは不祝儀ですから、不幸が繰り返されないよう、すぐに使ってなくなる“消え物”を贈るのが一般的です。よく利用される定番のものをご紹介します。

お茶、コーヒー、お菓子、砂糖などの消え物

日常的によく使い、すぐに消費できるものの代表です。お茶やお菓子をいただく時間に「故人を偲んでほしい」という思いを込めることにもなります。

タオル、石鹸、洗剤などの日用品

日用品は誰がもらって困ることがありませんし、石鹸、洗剤などは使ってしまえば消えてしまうものでもあります。

カタログギフトや商品券

相手の好みで品物を選んでもらうことができます。香典返しとして避けたい品も、カタログギフトの掲載品目なら問題ありません。また、商品券も贈る人を選ばないため、香典返しとして贈ることもあります。

香典返しと、法要の引出物との違い

「香典返し」は、通夜や葬儀など忌中（四十九日まで）に頂いた香典へのお礼です。頂いた香典の半額相当の品物を、忌中明けのタイミングにまとめて贈ります。

それに対し、「法要の引出物」は法要に参列してくださった方へのお礼として贈るもの。頂いたお供えや御供物料の１/３～半返し相当の品物を、その法要の帰り際などにお渡しします。品物は香典返しと同じく、食べ物や日用品などの“消え物”を選ぶと間違いないでしょう。

香典返しののしの書き方

香典返しののしは、地域や宗教によっても異なりますが、黒白もしくは黄白（おもに関西）で結び切りの水引がついたものを使います。一般的な表書きは「志」ですが、「粗供養」「偲び草」と書くことも。また、関西地方では「満中陰志」、名古屋では「七七日忌明志」「忌明志」という表書きが多いようです。

名前は喪主の姓のみ、あるいは「○○家」と記しますが、最近は喪主のフルネームを書く方も増えているとのこと。葬家の事情で決めるとよいでしょう。

香典返しにはさまざまな決まりがありますが、それは参列者へ感謝の気持ちを伝えるための大切なルール。ポイントを押さえてきちんと実行することで、あなたの誠意はきっと伝わることでしょう。